元・外国語校正者が泣きながら語る「ヴィジュアル系言語」の世界

母が先週モロッコから帰ってきたので、お土産をたかりに受け取りに実家に行ってきました。
えぇ、アフリカの「モロッコ王国」のことです。

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母についての紹介は、それだけで1記事書けちゃうほど濃いキャラなので後日機会があればしたいと思います。最近はアフリカだの中東だの、スリル満点の国ばかり狙って一人で斬り込むことに凝っちゃって(ツアーパックですが)、それをもう誰も止めない止められない。
「アタシが掟!」、まさにシーナ家最強の存在です(笑)。

それはさておき、待望のお土産配布タイム。

母「ほら、現地でしか買えない天然素材の石鹸とリップクリーム」
シ「わーい!」

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うん、読めない。

母「あと調味料ね、あると便利でしょ?」
シ「ナニコレ」
母「忘れた」

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何が入っているのかわからないものを買って寄越すって、考えたらすごくない?(汗)

母「旦那くんにはチョコとか買ってきたよ、好きでしょ?」
旦「あー、好きですね!(←甘党)ありがとうございます」

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アラビア語のインパクトに圧されて、一気に不安な表情になる旦那(笑)。

前振りが長くなってしまいましたが、ここからが本題です。

何から何まで全く読めなかったのですが、「何語か」はすぐ判ったんですよ。
実はわたし、結婚する前まで、海外向け日本製品マニュアル(取扱説明書)の校正の仕事をしていたのです。2年弱で退職しましたが、チェックしてきた言語は約25ヶ国語前後。
ヨーロッパ圏の依頼が最も多かったため、見覚えのある字面が記憶に残っていたのでしょう。
ちなみにお土産のパッケージはアラビア語(公用語)とフランス語でした。

ふと思い出したのも機会。いつもの家ネタからちょっと離れてあまり知られていない、馴染みのないこの「外国語校正」について今日はお話ししたいと思います。

語学力ゼロでもできる、ちょっと特殊な外国語校正のルール

※以降のお話は、わたしが籍を置いていた会社の話なので、他社とは異なるところもあると思いますのでご理解下さい。

校正のお仕事は、簡単に言えば「間違い探し」です。

画像が合っているか、テキストや線と重なっていないか、単位(例:kg)が2行でkとgにまたがっていないか(←泣き別れといいます)、数字は合っているか、商標(Rを○で囲ったものなど)が抜けていないか、などなどキリがないのでこの辺で。

この辺は日本語の校正と大差ありません。その代わり、文章の中身はほとんど見ません。
なぜならベース(正とする側の原稿)が英語だからです。

ちなみに、わたしの英語力といえば「5年かけて英文科卒、以上」。それも20世紀の話で、今では日本語すら怪しいレベル。それでもできるのが英語×多国語の校正なのです。

せいぜい文章の数(=「。」の数)が合っているか、文字化けしていないかを見るだけ。「だけ」といっても、お客様(メーカーさん)毎に違うルールがあるので、そこはやはり複雑なのですが「馴れ」が解決してくれる問題にすぎません。そして、ベースも原稿も、基本的に読むのはNG。

結論として語学力は不要、むしろゼロに近ければ近いほど向いているんじゃないかと思うくらい不要なのです。なまじ知っていると疑問がでてきて作業が進まなくなりますからね。

その反面時間には大変シビア。お客様の指定してきた時間を超えると赤字になる仕組みだからです。なので精度よりスピード重視。平均200ページ超の、普段馴染みのない言語でみっちり埋められた原稿を4~8時間(←言語による)でチェックして、指示原稿を作って納品までしなければならないのです。1ページに3分とか掛けようものなら怒られます。日本語だってそれくらい掛かるのに。あの殺伐とした独特の空気は、一度味わったらちょっと忘れられません。

そうして様々な言語の校正に携わってきましたが、中には「書き順すらわからない」「発音が想像できない」「むしろこれ…言語?」というのがたくさんありました。

全校正者が泣いた!(多分)もう校正したくないヴィジュアル系言語3選

※言語の画像の大きさ調整を間違えて小さくなっちゃったので、例によってクリック拡大でご覧下さい。

例えば日本語の「わたしは主婦です。家事、特に掃除が苦手です。」(←例文から既にただよう干物感)という文を英語に訳すと、「I am a housewife. Housework, cleaning is especially weak.」となります。(Google翻訳さんの力を借りました)校正時にはこれがベースになります。

では、これを使って今までわたしが担当したことがある中で、そのインパクトのあまり逃げ出したくなった言語を厳選して3つ。アラビア語だってイヤですが「これとアラビア語、どっちにする?」と聞かれたら迷わずアラビア語を選ぶ、それほどまでに避けたい言語をご紹介します。

ネパール語

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思い出すだけでかんの虫が起こりそうです。第一、目印になるピリオドがない! 
ところが、実はあるんです。ネパール語のピリオドはコレ↓

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もう余裕で見逃しそうなくらい文章に溶け込んでいます。何かに似てるなーと思ったら…。

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ベランダでした。

タイ語

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タイ語は本当にピリオドがありません。存在しないのです。その代わりの目印が…。

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英語には無数にあるスペースが、タイ語ではピリオドの代わり。ちょっとここで校正者の気持ちになってみて下さい。大抵の言語は英語よりボリュームがあるため、字間はツメツメ、字自体も小さいため隙間を探すお仕事になります。これを見開きでじっと眺めていると…どうですか? 

そろそろ泣きたくなってきませんか?

さて、本命の登場です。

タミル語

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もう絵文字にしか見えません。インドの一部の公用語であり、スリランカやシンガポールでも使われるメジャーな言語らしいのですが、初めて見た時のその威圧感たるや、見ただけで発狂しそうになりました。軽くトラウマを与えてくれた忘れられない言語です。

アジア圏の言語はもはや「アート」!

いかがだったでしょうか。振り返れば全てアジア圏の言語じゃないですか。
そういえば中国語の漢字の羅列、韓国語のハングルも強烈なインパクトがあります。日本語だって尊敬語、謙譲語、丁寧語など細かく分類され、世界でも習得が最も難しい言語のひとつと言われています。アジアってすごいですね。むしろ濃い。

見てるだけなら楽しいんです見てるだけなら!

最近よく「語学力不要、初心者でもできるマニュアル校正」の求人を見かけることもあって書いてみました。興味のある方にはどう映ったでしょうか。参考になれば(?)と思います。

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