詐欺の立件は難しい?

詐欺の被害に遭ってしまった人が、警察に被害届を出したものの、警察がなかなか動いてくれないという事例がよくあります。

警察には詐欺事件に対して積極的に捜査を行わない傾向があるのです。
これはなぜなのでしょうか。

行為が詐欺罪にあたるのかがわかりにくい

このような話をするときによく使われる用語として「立件」があります。

立件は法律用語ではありませんが、一般的に、警察がある事件を刑事事件として取り上げ、捜査を開始することをいいます。

定義がはっきりしない言葉ではありますが、「立件されない」状態とは、被害届を受理しない場合はもちろん、被害届を受け取りながら何も捜査を行わない場合も含まれるといえます。

さて、詐欺の立件が難しいと言われる理由に、その行為が刑法上の「詐欺罪」に該当するかどうかが微妙になることが多いことがあります。

とくに、お金などが本当に「騙し取られた」ものなのか、ということが大きな問題です。

民事事件であれば警察は動けない

お金の貸し借りを例にとります。
「お金を貸したけど返してくれない」というだけでは、詐欺罪にはなりません。

なぜなら、お金を借りたあと、資力がなくなって返せなくなった場合、最初から騙すつもりでお金を受け取ったわけではないからです。

お金を貸した人は、債務者に義務を履行してもらうため、請求や督促、民事訴訟などを行うことになります。

警察は、このような民事事件には手を出せません。
これを「民事不介入」の原則などと呼んでいます。

証拠を突きつけて立件を促す

「お金を貸してくれ」といった時点で持ち逃げするつもりだったのであれば詐欺罪となりえます。

しかし、警察に「あいつは最初から返さないつもりだったに違いない」といっただけでは立件されないでしょう。

警察に対して、相手に騙す意図があったということをある程度証明する必要があります。

たとえば、お金の貸し借りを装う詐欺であれば、相手が契約書に書いた氏名や住所がでたらめだった、金を受け取った次の日に姿を消して連絡を絶った、という事実が証明できれば、騙す意図があったことが読み取れるため有力です。

そういった証拠をどれだけ示せるかが、詐欺事件が立件されるか否かの分かれ道です。

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