履歴詐称と私文書偽造罪の関係

従業員の募集をする際のリスクとして、自分の学歴や職歴を偽った履歴書や職務経歴書を提出する人の存在があります。

事前の調査でこうした履歴詐称をする人物の採用は防げることも多いのですが、採用してしまった後に発覚し、会社に損害が発生する場合も多いようです。

履歴詐称で刑事告訴はしないケースが多い

偽りの履歴書や職務経歴書を提出した場合、刑法159条の「私文書偽造等罪」にあたることがあります。

私文書偽造は3月以上5年以下の懲役というかなり重い罪です。
しかし、実際に履歴詐称をした人物を刑事告訴する企業はほとんどありません。

仮に、履歴詐称をした人物が捕まって起訴され、裁判で有罪判決が下されるにしても、それまで長い時間が掛かります。

その間には、調書と作るために企業の人事担当者が警察や検察から呼び出しを受けことになるでしょう。

その上、裁判で公判への出廷もしなければならなくなります。
第一審で有罪になった被告が控訴をすれば、さらに裁判が長引きます。

また履歴詐称を事前に見抜けなかった企業側の杜撰さが指摘され、敗訴してしまう可能性もゼロではありません。

そもそも刑事訴訟で勝訴したとしても会社にはそれほどメリットもありませんので、そのような労力を使う人は少ないのです。

経歴詐称を見抜けなければ会社の損害に

履歴書の詐称によって最も被害を受けるのは会社です。

求職者が、建築士などの公的資格を持っていないのに持っていると詐称した場合、その事実が発覚すると、企業に重い責任が問われます。

詐称をした人に損害賠償などを請求することはできますが、これもかなり困難

たとえば、高卒なのに大卒と学歴を偽っていた場合でも、裁判で高卒者との賃金の差額を請求することが認められないことが多いようです。

場合によっては懲戒解雇の理由にすらならないケースもあります。

履歴詐称は事前の調査で明らかにしよう

やはり肝心なのは採用する前に、相手の履歴をチェックすることです。

学歴であれば卒業証明書を提出させる、職歴に関しては記載してある企業に確認するなど、採用試験の段階でできる事前調査はかなりたくさんあります。

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           重要な経歴詐称は懲戒解雇の理由になる

さらに詳細に前歴を調べたいのであれば、興信所などに個人信用調査を依頼するという手もあるでしょう。

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