履歴書の経歴詐称が発覚したら
会社に所属する従業員が、入社時に提出した経歴を詐称していると疑われる場合があります。
会社業務に支障が出る場合は、詐称の有無を調べたいところです。
履歴書の経歴詐称を疑った時、会社としてどのように対処すればよいのでしょうか。
学歴は証明書の提出が最も有効な手段
履歴書等の経歴詐称で起こりがちなことは、学歴を偽る、職歴を偽る、過去のトラブル、犯罪歴などを隠すといったことです。
これらの経歴に疑いが生じた場合、その社員について調査を行う必要が出てきます。
学歴や資格の有無であれば、証明書等を取得できますので、その書面の提示させることが最も有効です。
委任状をとって会社で照会を行うことも可能なことがあります。
「言わなかった」ことは詐称になるのか
職歴、過去トラブル等については難しいポイントがあります。
以前勤めていたとされていた会社に所属していなかったことであれば、前職の会社へ電話確認するなどである程度調べられます。
また、社会保険などの扱いで矛盾が出ることがあります。
しかし、履歴書や職務経歴書の記載が不十分なこと、つまり「書かなかった」「言わなかった」ことが詐欺になるかといえば、それは詐称といえるのか微妙なラインです。
過去のトラブルについても、特に聞かれなければ言わないことが当然ともいえます。
それらが、客観的に業務を遂行できないような重大な問題で、申告するのが義務といえるような事項でなければ、経歴詐称とまではいえないでしょう。
処分するためには証拠をつかむことが重要
経歴詐称を原因として解雇を行うとなると、もっと困難な問題が生じます。
経歴詐称は、その詐称が事実であることはもちろん、採用基準においてその記載事項等が重要な場合でなければ解雇は認められない傾向があるからです。
経歴詐称を調査し、その後の社員の処遇を決める場合、証明書で証明できない部分については、証拠をつかむ必要が出てきます。
とくに、懲戒等なんらかの処置をとる場合、証拠が決定的に重要です。
経営者にとって期待していた人材ではなかった、ということと、経歴を詐称していた、ということは異なります。
それが詐称と認められるために、どのような証拠が必要か、という観点から調査手法を検討する必要があるでしょう。