従業員の正当な解雇理由とは
経営者の悩みの種となるのが問題行動をする社員、成績が著しく悪い社員。
注意しても改善が見られず、最後の手段として解雇を検討している方もいるでしょう。
しかし、法律上解雇は無制限に認められるわけではなく、社員との解雇をめぐるトラブルが各所で発生しています。
このようなトラブルを避けるため、「正当な解雇理由」の考え方を深く理解しておく必要があります。
解雇権の濫用とならないよう注意する
解雇の際に注意したいことは、「解雇権の濫用」と判断されないような理由があるか、ということです。
解雇が客観的・合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合、解雇権を濫用したものとされ、解雇無効となります。
解雇権の濫用であるかどうかを判断する際は、解雇される人の選定が合理的であるかどうか、解雇を回避するための努力が尽くしたかどうか、事前に説明・協力義務を尽くしたかどうか、といったことが争点になります。
労働契約が履行できない理由があるかが焦点
労働契約は、労働者の労働に対し、使用者が賃金を支払う契約です。
労働者に業務を遂行できなければ、契約の目的を達成することができないため、解雇の客観的・合理的理由になると考えられます。
たとえば、上司の指示に背く、同僚との協調性がない、仕事をサボる、同僚や取引先とトラブルを起こすといった理由は解雇の原因となりえます。
しかし、その行為が解雇の客観的・合理的な理由である、社会通念上相当と認められるものでなくてはなりません。
また、能力が著しく劣る社員も、業務が遂行できない理由として考えられます。
しかし、この線引きは難しいものです。
個々人に能力の差があるのは当然であり、業務に関する能力は会社で培われるべきものでもあります。
能力不足の程度が著しいこと、そして教育・研修、改善の機会等が付与されていることが解雇の条件となります。
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解雇に関する就業規則上の手続きを踏む
解雇事由が正当でも、解雇に至るまでの手続きが適正でなければ、解雇権の濫用と判断されることがあります。
まず就業規則に解雇に関する定めがあるかどうか、そして、その社員の事例がそれに該当するか否かを確かめましょう。
そして、解雇の前に該当社員への説明の義務を果たしましょう。
問題行動による懲戒解雇の場合、最初から解雇を行うのではなく、戒告・訓戒などの懲戒などを行い、懲戒解雇にするといった段階を踏むことも必要となります。