強制執行の費用を債務者に請求できるケース
「強制執行にかかる費用は?」でご説明したとおり、強制執行をするためには、手数料、郵便切手代、予納金といった費用がかかります。
執行にあたってこれらの費用は一時的に債権者が支払わなくてはなりませんが、民事執行法によれば、これらの費用は債務者に請求することができます。
執行費用はすべて債務者に請求できる
民事執行法第42条には、「強制執行の費用で必要なものは、債務者の負担とする」と定められています。
また、債権の強制執行では、支払いを求める金銭と同時に執行費用も取り立てることができます。
つまり、債権の支払いを求める裁判の場合は、状況を問わず「費用はすべて債務者に請求できる」と考えて差し支えないのです。
費用を最初に支払うのはあくまでも自分
ただし、これは「債務者に請求できる」ことを示しているに過ぎません。
強制執行を始める段階で、最初に費用を負担することになるのはあくまでも自分自身です。
特に、不動産の強制執行では、場合によっては100万円にも及ぶ費用が必要になります。
お金を取り戻すための執行費用が、却って自分の生活を脅かすことのないよう注意しなくてはなりません。
「費用倒れ」にならないよう注意
せっかく裁判に勝ったのに、 執行費用だけがかさみ結局損をしてしまうことを『費用倒れ』といいます。
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相手側が執行を予測して財産を隠したり、最初から財産を持っていなかったりする場合は、そのような費用倒れに終わるケースも珍しくありません。
費用以外の条件が揃い強制執行ができる状況でも、執行前の時点で「費用倒れになる」と考えられる場合には、そもそも裁判所が強制執行を認めてくれません。
そうなると「裁判に勝つことはできたが、結局お金を取り戻すことはできなかった」という事態に陥ってしまうこともあります。
「どうせ費用は相手持ち」と考えて気を抜いてしまうのは厳禁です。
「執行すれば、お金を取り戻せる当てはあるか?」
「執行費用もきちんと取り戻すことができるか?」
強制執行を進める際は、これら2つの点に注意して計画を立てていくことが大事なのです。