夫が失踪した場合の離婚方法
夫が行方不明になってしまいました。
夫には私に知らせていなかった借金があり、催促の電話も来ています。
もう愛想は尽きているので、離婚したいと思っているのですが、行方不明者との離婚ができるのか分からず困っています。
離婚できる方法があれば教えてください。
行方不明者とは協議離婚ができないため、家庭裁判所に離婚を求めて訴えを起こす必要があります。
また、旦那様について失踪宣告を受ければ、死亡したとみなされるため、婚姻関係は終了します。
裁判による離婚が唯一の道
離婚の9割は、夫婦間で合意して行う協議離婚です。
しかし、配偶者の行方がわからない状態の場合、話し合いをすることが不可能なため、協議離婚はできません。
また、家庭裁判所の調停による離婚も、最終的に双方の合意を必要とするためできません。
行方不明の配偶者と離婚をするには、裁判離婚によらなくてはなりません。
一方が離婚を求めて裁判を起こし、一定の理由がある場合は強制的に離婚となります。
以下、その理由となるものを挙げます。
- 不貞行為があったとき
- 悪意で遺棄されたとき
- 3年以上の生死の不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- 上記以外の婚姻を継続しがたい重大な事由のあるとき
ご相談のケースで該当する可能性があるのは、「悪意で遺棄されたとき」と「3年以上の生死の不明」の2点になるでしょう。
行方不明の期間や、状況が重要
ではまず、ご自身が離婚できるケースに該当するか否かは、まず「行方不明から3年以上経っているか」ということを考えましょう。
ただし「生死不明」の期間ですので、居場所は分からないが連絡が取れている場合は該当しません。
また、民法では「夫婦は同居し、お互いに協力、扶助し合わなければならない」と定めています。
3年経っていない場合も、生活費を送って来ないなど、悪意で夫婦生活を断絶していると認められれば、2の理由により離婚できると考えられます。
なお、離婚とは異なりますが、7年以上生死不明が続くと、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立て、その人は死亡したとみなすことができます。
⇒参照記事 裁判所
配偶者が死亡した場合、婚姻関係は終了します。
ただし、その後生きているということがわかった場合、失踪宣告は取り消さなければならず、再婚をしていない限り婚姻関係は復活してしまうということは、頭に入れておきましょう。