行方不明者の給与差し押さえはできるのか?
裁判所に申し立てが認められれば、債権者が債務の支払いを拒否していたとしても『強制執行』を行うことができます。
強制執行とは、国の権力を背景として債務者の財産や給与の一部を差し押さえる方法です。
強制執行が行われれば、差し押さえた財産、給与を持って債務の支払いに充てることになります。
債務者が行方不明になったら
強制執行で給与差し押さえ行う際問題になるのが、「債務者が行方不明のときどうすればいいか」という点です。
実は、債務者自身の行方がわからなくても給与差し押さえ自体は問題なくできます。
法律上、「債務者への給与支払者」は「第三債務者」と呼ばれます。
強制執行では、「債務者を飛ばして第三債務者から直接債権者に債務を支払う」という方法を取ることができるのです。
給与差し押さえができるパターン
ただし、これは第三債務者、つまり『給与の支払者』がわかっている場合に限られます。
支払元がわからなければ、そもそも給与を差し押さえること自体が不可能だからです。
言い方を変えるなら、給与差し押さえをするつもりであれば債権者の行方よりも『給与の支払者』の行方のほうが重要であるともいえます。
債務者の捜索を行っているようなら、そこから少し手を広げて、給与支払者も同時に捜索するという方法もあります。
給与支払者が誰かわからないときは?
近年では、派遣労働などで勤務先と給与支払者が別であることも少なくありません。
そうしたパターンに当てはまり、給与支払者の所在もわからないのでは、給与の差し押さえを行うことはできません。
債務者、給与支払者の居場所が両方共つかめないようなら、給与差し押さえ以外の方法を考えるのも選択肢の一つです。
強制執行では給与の他にも、預金や不動産などの財産を差し押さえることもできます。
こちらも債務者の財産が把握できているという条件はついてしまいますが、給与差し押さえが難しい時の対策として考慮しておいたほうがよいでしょう。
ひとつの方法に固執せず、色々な可能性を検討することが債務を回収するための近道です。
参考サイト⇒ 債権回収の方法