社内不正がある場合の対処法
社内の役員・従業員が、会社に損害を与える不正を行っていると疑われる場合は、なるべく早く対策を打つことが重要です。
不正を疑うきっかけは不確かな情報であることがほとんどかもしれませんが、その段階で問題を放置することで、被害が大きくなる事例が非常に多いのです。
リスクを分析し、調査体制を築く
不正の事実が確定していなくても、その疑いがある場合は、早めに経営者をトップとする社内の対策チームを作り調査を開始することをおすすめします。
調査では、まず疑われる不正の事実、時期、関与者を推定し、発生する恐れのある法的な問題、金銭的な被害などのリスクを計算します。
そして、その推定した事実に基づき、物的な証拠集め、関係者からの聞き取りを開始。
事実関係を固めていきます。
社内調査は中立性と機密性に課題がある
ここで注意したいのが 社内の調査は中立が保ちにくいこと。
疑いの段階で、怒りに任せて特定の社員に責任を負わせようとすれば、重大なトラブルに発展します。
また、経営陣や情報提供者、調査担当者が不正に関与していると、調査そのものが成り立たなくなります。
もうひとつの問題は機密性。調査は、関与者の証拠隠蔽などを防ぐため、秘密裏に行うことが求められます。
しかし、関与者はいわば最大の調査協力者でもあり、最終的には聞き取りを行う必要があります。
本人に聞き取りを行う前に、確実な証拠を保全しなければ、言い逃れの機会を与えてしまうことになります。
第三者による調査も早めに検討すべき
中立性と機密性を保つためにも、「初動」が大切です。
事案が複雑で重大な場合は、最初の段階で弁護士や会計士、不正調査の専門家など、第三者的な専門家を入れておくことも検討するべきでしょう。
不正の情報を得た時点で、リスクを過小評価しないことが重要です。
調査により不正の事実、被害の規模が明らかになったあとは、関与者の懲戒処分、また民事での損害賠償請求、場合によっては刑事告訴などを検討することになります。
これらを行う際も、いうまでもなく証拠が重要となります。
証拠を揃えるために、どのような体制で調査に臨むべきか、早い段階で慎重に検討しましょう。