採用調査をおこなう場合の注意点
採用に際して求職者のことをなるべく詳しく知ることは必要ですが、調査は無制限に行って良いわけではありません。
採用調査は、自社で行うほかに、探偵や興信所への委託を行うことも選択肢の一つですが、その際にも注意点があります。
差別的な調査を行うことは避ける
使用者は労働者の採用に当たって調査を行う自由があります。
しかし、採用調査は労働能力・適性の判断に必要な範囲のものに限定するべきです。
社会的差別につながる調査を行ってはなりません。
厚生労働省では、本人に責任のない事項(本籍、出生地、家族構成や資産、住宅状況、生い立ち等)、本来自由であるべき事項(宗教、支持政党、思想、信条、人生観、購読新聞等)、また身元調査や合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断について、公正な採用のための配慮を求めています。
このような差別があるべきではない、ということは、憲法14条にも明記されています。
合理的な調査事項を考えることが必要
調査を行うにあたり注意すべきことは、それが採用の可否を判断するために本当に必要な調査であるのか、ということです。
たとえば、求職者の住所は当然知るべき事項ですが、居住地以外に、戸籍情報である本籍地や家族構成などを調べる必要があるとは思えません。
会社に勤務できる状態であるかどうかを考えるため、求職者の健康状態も重要でしょう。
しかし、会社の業務に支障がない疾病などを調査することは避けるべきでしょう。
調査結果から合理的な理由なく内定取り消し等を行った場合は法的なトラブルに発展することもあります。
外部委託は事前に調査内容、手法の確認を
また、調査会社が適法に調査を行っているか、ということも重要です。
違法な手法で情報を取得した場合は、依頼した会社が刑事上、民事上の責任が問われることがあります。
なかには、違法な調査手法で、通常知ることができない情報を取得することができるということを「売り」としているような調査会社も存在しますので注意が必要です。
個人情報保護の観点から、採用調査の内容、手法について厳しい目が向けられているという現状があることも頭に入れ、公正な選考、採用のために必要な情報を適正な方法で取得することを常に念頭に入れたいものです。
外部委託の際も調査事項と調査手法について事前に確認しておきましょう。