慰謝料の強制執行の仕方
夫婦が離婚をしたあとに発生しやすいのが慰謝料の不払い問題。
元配偶者が慰謝料を支払ってくれず、請求を無視したり開き直ったりするようになると、債権者としては打つ手がなくなります。
そこで検討できるのが、裁判所に申し立てて相手の財産を強制的に差し押さえる『強制執行』です。
⇒参考記事 自分で強制執行をして養育費を回収するために知っておくべき8つのこと
債務名義を取り、裁判所に申し立てる
まず、強制執行を行うためには、債権の存在等を公的に証明する「債務名義」が必要となります。
債務名義となるのは、「○万円を支払え」といった確定判決や和解・調停調書、不払いの場合強制執行を行う旨の記載がある公正証書などです。
離婚時に、慰謝料についての取り決めがすでに上の手段によってなされている場合は、強制執行が可能です。
協議離婚で慰謝料を取り決めた場合など債務名義がない場合、改めて裁判を起こすなどといった手段を取る必要があります。
相手が行方不明、財産はどこにある?
強制執行が可能な財産としては、預金や給与、不動産、車や家財道具などの動産があります。
その財産は債権者自身が探さなければなりません。
預金であれば銀行支店名、給与であれば勤務先などを特定する必要があります。
ここで問題となるのは元配偶者が断りなく引っ越してしまい、居場所がわからなくなるケースです。
相手が行方不明の場合、調停や公正証書の作成は無理。
裁判で勝訴することで債務名義を取ることはできますが、債務名義を取ったとしても、行方がわからないと、どこにどのような財産があるかわからないため、現実的に強制執行は困難です。
居場所の特定が最優先
現住所がわからなくても、勤務先や預金口座など、「ダメでもともと」で強制執行の申立書に記載し、成功することもありますが、成功率は低くなります。
やはり、何らかの方法で居場所を特定するのが一番です。
相手の両親や勤務先、共通の知人への聞き取り、元配偶者の本籍地で戸籍の附票を取得し、住民登録の移動を調べるなど、できることから始めましょう。
ただし、債務から逃げるために引越しをした人の足取りをつかむことは、個人では限界もあります。
探偵など調査会社への相談も視野に入れてみてはいかがでしょうか。