履歴事項全部証明書の取得について
大口の取引や提携、あるいは出資を検討している会社がある場合、その会社が信用できるか否かを調べる必要があります。
企業調査を行う場合にまず行うこととしては、その会社の設立年月日や業務内容、資本金、株式の数、役員等が調べられる登記事項証明書(登記簿謄(抄)本)を取得することがあります。
企業調査は現在の情報だけでは足りない
その会社がどういう会社か知りたい、という場合、古い情報ではなく会社の現在の状況を調べたいと思うでしょう。
法務局で取得できる登記事項証明書には、会社の現在の状況が記載される「現在事項証明書」があります。
しかし、企業調査を行うためには、現在の情報だけでは足りません。
たとえば、設立年月日が古い会社は、歴史と経験がある、と推測することができそうですが、実は活動していない「休眠会社」を買取り、まったく違った会社として生まれ変わっている場合も多いものです。
これは、「取り込み詐欺」を行う会社が多用する手法でもあるため、気をつけるべきです。
履歴事項証明書で3年間の抹消事項も調べる
そこで、すでに抹消された登記事項について記載される「履歴事項証明書」が役に立ちます。
履歴事項証明書には、現在事項のほか、請求した日の3年前の日の属する年の1月1日以降に抹消された事項も記載されています。
履歴事項証明書を調べることで、ある時期に会社の所在地や事業内容、役員などがガラリと変わっている場合など、休眠会社の買い取りが疑われるケースについて確かめることができます。
企業の調査を頻繁に行う金融機関などが「登記簿を取得する」という場合、履歴事項全部証明書を取るということを指すことが多いようです。
もっと古い情報は「閉鎖事項証明書」で
なお、上で説明した約3年の期間よりも前の登記の抹消事項については、履歴事項証明書には記載されません。
このような抹消事項等の証明書が必要な場合は、「閉鎖事項証明書」を請求する必要があります。
閉鎖事項証明書は、破産などによってすでに存在していない会社の登記事項についても調べることができます。
社歴が古い会社の信用調査を行う場合は、履歴事項証明書と合わせて閉鎖事項証明書も調べておくべきでしょう。