内部通報を受けた後の事実確認

コンプライアンス意識の高まりから、内部通報の窓口を設置する会社が増えています。

しかし、制度として有効に機能しているとはいいがたい例もあるようです。

社内で起こる不正について、内部通報を受け付けたときはどのように調査すれば良いのでしょうか。

真偽不明でも放置はしないこと

通報を受けた時点では、もちろんその情報の真偽は不明です。
単に個人的な不満をぶつけているだけといった事例もあるでしょう。

しかし、どのような内容であっても、内部通報を放置してはいけません。
通報を放置することで、通報者は「何も対策をしてくれない」という不満を一層募らせることになります。

それにより、マスコミへのリークや、ネット掲示板への書き込みなどの手段に訴えることもあるのです。
そうなれば、会社として尽くせる手も限られてしまいます。

内部通報は、社内の問題を早期発見し、改善するための有益な情報です。
窓口の担当者が通報を取捨選択せず、経営者に直接伝わるようにしておき、トップダウンで調査等の対応ができるようにしておきましょう。

関係の責任者、専門家と対策チームを組む

通報を受けたら、その問題についてどのような調査を行うべきか検討し、その不正に関連する部署の責任者に情報提供を指示します。

たとえばお金の使い込みなどの不正であれば経理担当者、契約の横流しやバックマージンの存在であれば、営業の責任者などへ協力を依頼しましょう。

そして、帳簿などの資料、関係社員への聞き取りなどで事実確認を行い、十分な証拠を揃えることができたら、本人への聞き取りに入ります。

場合によっては、調査開始の時点で第三者的な専門家の選定をしておくべきです。

法律問題の発生が予測される場合は弁護士、社員の行動を調査する場合は探偵や興信所、あるいはITの専門家など、事例によって相談すべき相手は異なります。

通報者の匿名性が内部通報の要

内部通報をきっかけとする調査において、最も重要なことは通報者の保護です。

通報をしたことで不利益を被ることがあれば、制度自体が成り立たなくなります。
通報者が特定されてしまうような調査手法は避けるべきでしょう。

内部通報制度を有効に機能させ、不正発見、再発防止に役立たせるためには、単に窓口を設置するだけではなく、通報を受けた際の体制を整備しておくことが大切です。

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