住所不明者への公示送達
裁判で相手を訴えるときには、「争いを起こしますよ」という旨を相手に伝えなくてはなりません。
訴える相手に対して裁判に関する書面を送ることを「送達」と呼びますが、郵送で送るため、当然相手の住所がわかっていることが前提となります。
これに対して、「住所不明の相手に送達を行うための方法」を『公示送達』といいます。
債務者が夜逃げするなどの理由で、住所がわからなくなった場合でも、公示送達を行うことで裁判に訴えることができます。
公示送達ができる条件
以下の条件のいずれかを満たしているのなら、公示送達を行うことができます。
- 当事者の住所や居住地がわからない場合
- 郵便による送達が行えない場合
- 海外に住んでいて、現地の官庁を通じての送達が不可能な場合
- 海外に住んでいて、現地の官庁に嘱託した送達が6ヶ月以上送付されない場合
相手の住所がわからないことを証明する
公示送達は、裁判所に申し立てて行うものですが、それにあたり「本当に相手の住所がわからないこと」を示さなくてはなりません。
具体的には・・・
- 相手側の不在籍・不在住証明書
- 宛所、宛名不明で返送された書類
- 住所不明であることの調査証明書(裁判所から書式を入手可能)
申し立てを行う際に、これらの書類を添付資料として裁判所に提出する必要があります。
2週間の掲示で『送達完了』
申し立てが受け入れられると、裁判所によって公示送達の手続きが進められます。
裁判所の掲示板に送達の文書が一定期間掲示され、「掲示があった」という事実は官報、もしくは市区町村役場の掲示によっても伝えられます。
掲示から2週間で「送達された」とみなされることになります。
公示送達自体は裁判所が行ってくれるため、自分で行う必要があるのは資料を提出することと、相手が行方不明だと確かめることだけです。
もちろん自分一人で進めることもできますし、不安に感じる方は弁護士など専門家に相談しながら準備するとよいでしょう。