前職調査は違法ですか?
採用を検討している者に対して、本人の職歴書と相違がないか、勤務態度はどうだったかを知りたいと考えています。
ですが、前職調査をすることは違法ではないかという心配もあります。
前職調査の違法性、また違法であるものと違法でないものの違いがあれば教えてください。
前職調査を行うことそのものが違法とはいえません。
しかし、個人情報保護法などにより、調査先の企業から回答を拒否されることがあります。
また、調査手法が法律に反する手段によるものである場合は、当然ながら罰せられます。
調査先の会社が個人情報保護法違反になる可能性
応募者の採用を決める際、求職者に自社の仕事に適性があるかどうかを調べることは当然です。
しかし問題となるのは、履歴書のチェックや面接などに加えて会社が独自に求職者の情報を収集する行為です。
まず、検討しておきたいのは「個人情報保護法」。
この法律では、調査をする側ではなく、求職者の情報を持つ前職の会社の行為が規制されます。
同法施行後から、前職の会社への電話調査を行う際に、同法を理由に情報提供を拒否されることが増えたといわれています。
規制の対象となるのは5000人分を超える個人情報を事業に利用している個人事業取扱事業者です。
個人事業取扱事業者は、本人の同意を得ずに管理する個人情報を第三者に提供してはなりません。
同法の規定から考えると、本人の同意を得ることができれば、前職の会社が個人情報を提供してもよいことになります。
最近は、採用試験、面接などの際、求職者に前職の情報を提供することの同意を取る動きも見られるようです。
調査会社の違法な場合も罰せられる可能性がある
また、調査の手法についても注意したいところです。
いうまでもありませんが、求職者の前職に関するデータを他社から盗み出したり、不正アクセスによって取得したりした場合は罰せられます。
前職調査を調査会社に依頼する場合も要注意です。
その調査会社が、違法な手段で情報収集を行った場合、その違法性を知りながら依頼した会社も、民事・刑事上の責任が問われる可能性が考えられます。
前職調査を行う場合は、採用判断のための資料として必要な情報のみを、適正な方法により取得する必要があることを覚えておいてください。