債務者が逃げた。回収の際の注意点はある?
債務者が逃げて音信不通になってしまう事例はよくあります。
債権額が大きい場合、時間や費用をかけてでも逃げた債務者の居場所を突き止めて回収したい、と思うでしょう。
その際、注意しておかなければならないポイントがあります。
債権回収は法的に適切な手段で行う
夜逃げなどをした債務者に対する債権回収の注意点を3つ挙げます。
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整理屋・取り立て屋には絶対に頼まない
債権回収に困っている人には、どこから聞きつけてきたのか、怪しい人たちが群がります。
「確実に回収します」「きっちりカタをつけます」などと誘いがあっても乗ってはいけません。原則として債権者の代理人として相手と交渉できるのは弁護士だけです。
「取り立て屋」を名乗る業者が料金を持ち逃げする事件が多発しており、お金を騙し取られる危険もあります。
また、取立てなどに違法行為があった場合に、債権者が共犯に問われることもあります。
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自力救済の禁止
いくら債権を持っていても、自分の意思で支払わない債務者から、差し押さえや強制執行などの適正な手続きを踏まずに、財産を実力で奪うことはできません。
たとえば、債務者が逃げる前にいた自宅や事業所に様子を伺いに行く際、そこに「金目のもの」があったとしても、勝手に持ち出すのは犯罪です。
これは、あなたが貸したものや、あなたが納入して未払になっている商品であっても同様です。
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債権の消滅時効
債権回収は時間との戦いでもあります。
個人間のお金の貸し借りの場合、支払い期限から10年で債権は消滅します。
商売による債権は10年よりも短く、種類によって細かく期間が定められています。進行中の時効の経過を中断してゼロに戻すには、裁判での請求、差し押さえ等を行うことが必要です。
ただし、時効期間を過ぎていても、相手が返済する意思があるのであれば返済を受けることができます。
居場所を特定し、次の手を考える
債権回収の際は、まず何らかの方法で居場所をつきとめることが大切です。
そして、居場所がわかった場合は、時効にも気をつけながら、通常の請求あるいは法的手段と、実情に合わせて手を打っていくことになります。
現実的に困難は多いのは事実ですが、できる限りのことを行っておいたほうがよいでしょう。