会社の使い込みの事実確認
経営者が頭を悩ませる社内不正のひとつに、会社のお金を従業員が自分のために使ってしまう「使い込み」があります。
使い込みが発生した場合、事実解明と犯人の特定はどのように行えば良いのでしょうか。
使い込みには2つの類型がある
一般に「使い込み」といわれる不正は2つのパターンに分かれます。
まず、会社のお金を自分の懐に入れ、私用で使うケース。
この場合、本来会社にあるはずのお金がそっくり消えてしまうことになります。
もう一つは、お金は経費として計上しているケースです。
備品の購入や交際費といった正規の支出として経理されているため、表面上不自然さはないのですが、実質的に従業員が会社のお金を自分のために使っているという事例です。
横領の調査は契約と入金を精査
会社のお金を直接抜くケースの場合、調査は入金と現預金の額を付き合わせることが中心となります。
売上がありながら入金がない事例があれば、そのお金は誰かが自分のものにしている可能性が高いでしょう。
しかし、実際の事例では、経理上証拠が残らないようにするために、特定の入金をはじめから記帳しないという手口がほとんどです。
経理だけではなく、営業担当者や業務担当者と、一つ一つの契約、業務とお金の流れを付き合わせる作業が必要となります。
経費と使い込みの線引きは難しい
使い込みをした金額が経費として計上されているケースでは、経費の中に異様に額が高いものがないかを見ていくことになります。
そして、そのような支出について、本人と関係者に聞き取りを行い、私的に経費を使った事実を掴んでいきます。
しかし、ここで難しいのは、それが使い込みなのか、経費の「無駄遣い」なのかという問題。
たとえば、取引先と高いお店で飲み食いし、交際費として計上していたとしても、それだけでは使い込みとして返還を請求できるとは限りません。
単なる無駄遣いであれば、モラルの問題で済まされてしまいます。
経費の使い方が使い込みであると主張するためには、支出先を偽ったり、内規で禁止されている経費の使い方をしたりといった事実を掴む必要があります。
まず冗費を防ぐ仕組み、ルールを作り、それに違反したとはっきりとわかるような証拠を揃えることが重要となるでしょう。